夏からの成果を大一番で発揮した岐阜女子の#4絈野夏海【SoftBank ウインターカップ2023 現地レポート⑫】
2023年12月26日
愛知県代表の桜花学園と岐阜県代表の岐阜女子は同じ東海エリアに属し、これまでも全国大会はもとより東海大会でも幾度となく激戦を繰り広げてきました。そして今年の「SoftBank ウインターカップ2023 令和5年度 第76回全国高等学校バスケットボール選手権大会(以下、SoftBank ウインターカップ2023)」、両チームは準々決勝で顔を合わせました。
注目の一戦は岐阜女子が先行しますが、第1クォーター終盤に桜花学園に追いつかれると、そこからは桜花学園にペースを握られてしまいます。桜花学園が5点リードで迎えた第2クォーターも状況は変わらず、岐阜女子は19ー31とビハインドを負って前半を終了しました。
後半、追う岐阜女子は#4 絈野夏海選手、#7 榎本麻那選手らが積極的にシュートを放ちますが、思うように決まりません。それどころか、第4クォーター残り7分半の時点では最大21点と点差が広がってしまいました。
それでも、「流れは必ず来る」(安江満夫コーチ)という岐阜女子は粘りを見せます。特に「無心というよりは、もう絶対に負けないという気持ちをずっと持ち続けてやっていました」という絈野選手がさらにギアを上げ、厳しいマークにもものともせずに3ポイントシュートを沈めます。あれよあれよという間に点差が縮まり、残り40秒では1点差に詰めました。
すると残り10秒、#8 ジュフ ハディジャトゥ選手がリバウンドからバスケットカウントを獲得し逆転に成功。フリースローはこぼれたものの、逆転を懸けた桜花学園の攻撃も#5 林琴美選手がボールを奪いタイムアップ。岐阜女子が劇的な逆転勝利を飾りました。
「彼女が止められることはわかっていたけれど、それを打ち破ってくれました」
試合後、岐阜女子の安江コーチがこう語るのは、この試合3ポイントシュート9本を含む37得点を挙げた絈野選手のことです。絈野選手は、岐阜女子の絶対的エースですが、夏のインターハイでは京都精華学園との2回戦で、決めれば大きく勝利を引き寄せる場面でフリースローを外した苦い経験があります。
夏以降、その悔しさを胸にレベルアップに取り組んできた絈野選手。その姿を見てきた安江コーチは、「彼女が一番責任を持って、あのフリースローを落としたことは何も言われてないけれども、自分でそれを財産にしていました。それは彼女の生活や練習の姿勢を見ていたら分かることで、私が言うよりも彼女が自分で学んだ強さだと思います」と、言います。
絈野選手自身も「夏はああいう負け方をしてすごく悔しかったのですが、夏からここまでの期間、一人ひとりが考え直しました。つらかった時期もあったけれど、しっかり立て直して、チーム一丸となって戦うことができたのでよかったです」と、声を詰まらせながら夏からここまでを振り返りました。
夏の経験をバネにして冬に躍動したエース。でも、まだ戦いは続きます。準決勝はSoftBank ウインターカップ2022準優勝の札幌山の手と対戦。「相手の特長をとらえ、日本一になるための準備をしてチーム全員で日本一を目指したいです」と、絈野選手は次なる戦いをしっかりと見据えていました。