SoftBank ウインターカップ2023 第76回 全国高等学校バスケットボール選手権大会


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REPORT 現地レポート

「久夫先生に恩返しがしたかった」ライバル相手に“魂”の追い上げを見せた仙台大学附属明成【SoftBank ウインターカップ2023 現地レポート⑥】

2023年12月24日

 「SoftBank ウインターカップ2023 令和5年度 第76回全国高等学校バスケットボール選手権大会(以下、SoftBank ウインターカップ2023)」の男子1回戦。組み合わせが発表されたときから、話題となったのが福岡第一(福岡②)vs.仙台大学附属明成(宮城)の一戦です。今年のインターハイ準々決勝やU18日清食品トップリーグ2023でも対戦している両校は、言わずと知れた全国屈指の強豪校。1回戦で当たるには惜しい好カードに、多くの注目が集まりました。

 今年6月に名将・佐藤久夫コーチが亡くなり、恩師の“魂”を引き継いで教え子の畠山俊樹コーチが指揮を執っている仙台大学附属明成。最期の教えである「つらいときこそ明るく」を合い言葉に、並々ならぬ思いを秘めた粘り強いチームです。佐藤コーチと親交が深かった福岡第一の井手口孝コーチも、それをよく知っているからこそ試合前から「決勝戦のつもりで戦います」と強い決意を語っていました。

 福岡第一は、ケガから復帰した#17 崎濱秀斗と#44 アピア パトリック 眞をスタメンに起用するビッグラインナップ。対する仙台大学附属明成は#4 小田嶌 秋斗を起点にスピーディーな展開を演じ、#7 佐藤 晴のシュートなどで良いリズムの立ち上がりを見せました。それでも福岡第一は慌てず、崎濱選手の活躍もあって流れを渡しません。互角の展開が続く中、ターニングポイントとなったのが第2クォーター。福岡第一が激しいプレッシャーを仕掛け、このクォーターの失点を僅か1点に抑えることに成功したのです。前半を終えて39-16と優位に立った福岡第一は、井手口コーチが「どんなに点差が開いても選手を下げようとは思いませんでした」と言うように後半も主力メンバーを起用し続けます。第3クォーターの残り6分半には44-16と、この試合最大の28点差を付けました。

 それでも、まだ勝負は終わっていませんでした。#6村 忠俊選手が「この大会で久夫先生に恩返しがしたかったので、このまま終わったら絶対にいけないという意地がありました」と語るように、仙台大学附属明成は気持ちを切らしません。苦しい時間帯に耐えると、第4クォーターにはその村選手や佐藤選手の3ポイントシュートも決まり始め、怒涛の追い上げを見せました。応援席も大喝采に沸く中、残り27秒には#10瀧 豊多選手の3ポイントでついに1桁差に。しかし反撃もそこまでとなり、あと一歩届かず65-76で試合終了となりました。

 激闘に敗れ、大粒の涙を流した仙台大学附属明成の選手たち。試合後、#8 ウィリアムスショーン莉音選手を抱き締めて「本当によく頑張った」と声をかけた井手口コーチの目にも、光るものがありました。ウィリアムス選手は「最後はみんなでリバウンドに飛び込んだり、ミスしてもみんなでカバーしたり、チームで諦めない姿勢を出すことができたので、久夫先生にも恥ずかしくない試合ができたと思います」と涙ながらにコメント。

 強敵を下し、大事な1回戦を乗り越えた福岡第一は、仙台大学附属明成の思いも背負い、日本一を目指して突き進みます。

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