いくつになっても”温故知新”~星城 鷲野鋭久コーチ~ 【SoftBank ウインターカップ2023 現地レポート⑦】
2023年12月24日
「SoftBank ウインターカップ2023 令和5年度 第76回全国高等学校バスケットボール選手権大会(以下、SoftBank ウインターカップ2023)」の女子2回戦、7年ぶりの出場となった星城(愛知②)は聖和学園(宮城①)と対戦し、69-73-で敗れました。途中、10点以上離される場面もありましたが、粘り強く戦って一時は逆転にも成功。競り合いに持ち込みましたが、最後は力尽きました。
チームを率いるのは、就任2年目の鷲野鋭久コーチです。「これが今の私たちの目いっぱいです。戦略・戦術を用いて相手を惑わすことはできましたから、もう一捻りしたかったのですが、競り合いの場面で単発になってしまいました。やはり簡単ではありません」
鷲野コーチは3年前まで愛知県内の公立中学を率いていて、全国制覇を達成したこともあります。教え子にはWリーグ・トヨタ自動車アンテロープスの#23 山本麻衣選手らがいます。「中学でも高校でも、攻守において視野を伴うプレーが鍵になります。オフェンスであれば、ボールをなくさない自信が視野の確保につながりますし、ディフェンスであれば、プレッシャーをかけることで視野の遮断になります。そこは中学でも、高校でも変わらないのです」
もちろん相違点もあります。むしろ、そちらのほうが大きいかもしれません。すなわちパワーとスピードです。パワーとスピードが上がるなかで、いかに視野を伴い技術を身につけるか。でも、だからこそ、舞台を移した高校バスケットの世界でも指導のし甲斐もあるというものです。
山本選手をはじめとする選手だけでなく、今大会の初出場している日本航空石川の橋田幸華コーチもまた、鷲野コーチの教え子です。教え子が自分と同じ道に進んで、日本を元気にしようとしている。これほどうれしいことはないでしょう。「指導者冥利に尽きます。彼女が頑張ることで……彼女以外にも全国各地でコーチになっている教え子はいますが、そうして私が指導してきたバスケットのすそ野が広がることで、バスケットのピラミッドがさらに高くなっていきます。そういう意味でも橋田さんがコーチとして同じSoftBank ウインターカップ2023に出ていることはすごくうれしいですね」
今大会での対戦はありませんでしたが、全国大会に出ていれば、いつか「師弟対決」のときが訪れるはずです。「私はもう60歳を過ぎています。それでも今なお“故きを温ねて新しきを知る”、私も勉強しています。それがチームとしてはもちろん、コーチとしても進化になるのです」鷲野コーチの指導者としての歩み、そして学びはこれからも続きます。