SoftBank ウインターカップ2023 第76回 全国高等学校バスケットボール選手権大会


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REPORT 現地レポート

土壇場で見せたエースの意地〜福岡第一#17 崎濱秀斗選手〜【SoftBank ウインターカップ2023 現地レポート⑯】

2023年12月27日

 「崎濱劇場だったな…」

取材を終えた後、東山・大澤徹也コーチはそう言葉を漏らしました。

 「SoftBank ウインターカップ2023 令和5年度 第76回全国高等学校バスケットボール選手権大会(以下、ウインターカップ2023)」の男子準々決勝で福岡第一(福岡②)と東山(京都①)が顔を合わせました。両チームは直近の「U18日清食品トップリーグ2023」や「令和5年度 全国高等学校総合体育大会」、そのほかの交歓大会を含めて過去7回対戦。その全てで東山が勝利を収めていました。

 この試合も全体を見るとほぼ全ての時間帯で東山がリードを取り、福岡第一は最大で18点のビハインド。しかし、最後の最後で #17 崎濱秀斗選手のショータイムが幕を開けます。

 まずは試合時間残り1分57秒の場面でピックプレーから3ポイントシュートを放ちます。結果的にこれは2ポイントの判定でしたが、これで66-70。さらに相手のミスを誘発すると、同1分28秒には再び3ポイントシュート。これが決まって1点差。

 そして残り25秒。東山 #5 瀬川琉久選手のフリースローが1本決まり、2点差の場面で再びピックを使ってトップから3ポイントシュートを沈め、福岡第一にこの試合初めてのリードをもたらしたのです。結局、この1本が決定打となり、福岡第一が劇的な逆転勝利で準決勝進出を決めました。

 崎濱選手は最後のシュートをこう振り返ります。

 「決めてやろうという気持ちがあったのと、誰よりもシューティングをしている自信があったので、自分を信じて打ちました」

 「最初にケガの状態を聞いたときには全治3ヶ月と言われたので、正直ウインターカップは出られないと思っていたのですが、この2ヶ月間、チームのため、今まで支えて3年間支えてきてくれた人たちの分も背負って帰ってこようという思いでリバビリしていました」と何とか大会に間に合わせ、土壇場で最高のパフォーマンスを見せました。

 ただ、最初から自分が試合を決める決意をしていたわけではなかったそうです。というのも、この試合ではトータルで3ポイント2/11と絶不調で、前述したシュート3本を決める直前には3本のジャンプシュートを外しています。「今までこんなに入らないゲームはなかったので、『これで終わるんだろうな』と思っていました」と崎濱選手も負けを意識していたと言います。それでも井手口孝コーチから「お前が全部やれ」と試合を託され、エースとしての自覚を取り戻したのです。

 敵将の大澤コーチは崎濱選手について、「あの一番しんどい場面で決められたので、やっぱり彼の意地だろうなと思います。『絶対にここで1本決めなきゃいけない』というエースの意地だと思います」と脱帽。技術うんぬんではない、福岡第一のエースとしての意地が劇的逆転勝利を生んだのです。

 東山との対戦成績は1勝7敗。最後の最後で強敵を乗り越えました。悲願の優勝まで、あと2つです。

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