数々のケガを乗り越えた福岡第一、結束の頂点へ【SoftBank ウインターカップ2023 現地レポート⑲】
2023年12月29日
「SoftBank ウインターカップ2023 令和5年度 第76回全国高等学校バスケットボール選手権大会(以下、SoftBankウインターカップ2023)」の男子優勝は福岡第一(福岡②)に決まりました。福岡大学附属大濠(福岡①)との“福岡県勢対決”を63-53で制し、4大会ぶり5回目の冬の頂点に立ちました。
福岡第一の今シーズンはケガに苦しめられた1年でした。今大会のエントリーメンバーでも、#17 崎濱秀斗選手や#41 森田空翔選手、#44 アピア パトリック 眞選手、そして#75 ディアロ ティディアニ選手が手術を余儀なくされています。特に#17 崎濱選手は9月に左足を骨折。大会直前に2ヶ月もの間、チームから離脱せざるを得ず、12月に復帰してからも「チームにアジャストできるのか、不安だった」と言います。それでもチームメイトの声掛けでフィットしていき、今回の優勝へとつなげました。「115人という部員数がひとつの力になって優勝できたと思うので、今大会はチームメイトの力で勝った大会だと思っています」
「9月に崎濱がケガで離脱しときは#76 山口瑛司選手がチームを引っ張ってくれていましたし、チームとしてうまくいかない時期もありました。でも崎濱が戻ってきて、リーダーシップを発揮してくれたことで、チームとして完成していったように思います」#17 崎濱選手がケガして以降を、そう振り返るのは#00 上山悠太選手です。彼はSoftBank ウインターカップ2023にもエントリーされていましたが、大会が始まる1週間前に右足をケガしてしまい、大会直前にベンチ外へと回ることになりました。
自らの調子を上げていく過程で、チームメイトが離脱していく――#17 崎濱選手はそんなチームメイトの悔しさも背負ったと認めます。「3年間一緒に頑張ってきた仲間でもありますし、自分は朝一番にシューティングに行くのですが、上山や(同じくケガでベンチ入りできなかった#85)森一秀とは毎朝6時前から一緒にシューティングをしてきました。彼らの頑張っている姿を見てきたので、彼らが今大会に出られないことは個人的にも悔しかったし、だからこそ、彼らの気持ちも背負って優勝できたことは本当にうれしいです」
例年であれば、大会後半から合流する福岡第一のすべての部員が、今回はクラウドファンディングを実施してまで、1回戦から応援に駆けつけました。そのチーム力こそが、今大会のタフな対戦相手を退け、5回目の優勝につながる最大の追い風になったのです。
バスケットボールは1人の力では勝てません。5人でも勝てませんし、ベンチ入りする15人の力でも勝てません。ベンチ入りできなかった選手たちも含めたチームの力が必要不可欠なのです。
一方で、部員数が多くなればなるほど、そのベクトルを同じ方向に向けるのはより難しくなっていきます。福岡第一の優勝は、単にライバルとの勝負に勝ったというだけでなく、数々のケガを乗り越え、大所帯のチームがひとつになるという難題をも乗り越えた、真の意味での優勝だったのです。