不完全燃焼のエース~県立足羽#17 平野里奈選手~【SoftBank ウインターカップ2023 現地レポート⑧】
2023年12月25日
「SoftBank ウインターカップ2023 令和5年度 第76回全国高等学校バスケットボール選手権大会(以下、SoftBank ウインターカップ2023)」の女子3回戦、札幌山の手(北海道①)と対戦した県立足羽(福井)は、オーバータイムの末に79-94で敗れました。
「ユズ、怖がるな。ファウルをしてもいいから、思いきってプレーしなさい!」県立足羽の満田高広コーチからそう声をかけられたのは#17 平野里奈選手です。23日の1回戦で27得点、前日の2回戦では44得点をあげた県立足羽のエースは、この試合、第1クォーターでファウルトラブルに陥っていました。結果として26分34秒の出場に留まり、得点も14点に終わります。
「今日の試合が自分にとっての本当の戦いという気持ちで臨んだんですけど、スタメンで出させてもらい一番コートにいなければいけないのに、一番得点をしなければいけないところを自分のファウルトラブルで責任を放棄する形になってしまって。自分が決めるべき場面でも決めきれなくて、まだまだ自分は全国で戦える実力ではないんだと痛感しました」
試合後、#17 平野選手は涙を流しながら、ゲームをそう振り返ります。エースとしては悔やんでも悔やみきれないゲームです。
もちろん収穫がなかったわけではありません。「1,2回戦は、決めるべきところでシュートを決めるなど、チームのスタッツリーダーとしての役割はできたと思うし、インターハイのときに比べても成長できたと思います。この試合(札幌山の手戦)も、つらい時間帯はありましたが、最後まで諦めずに、ゴールに攻めることができたところは大きく成長できたと思います」
まだ2年生。彼女だけでなく、この試合でチーム最多の21得点をあげた#15 竹下りの選手を含めてスタメンの5人の中で4人が2年生です。来年は自分たちがチームを引っ張っていかなければいけない。その気持ちは#17 平野選手もすでに自覚しています。
「3回戦までの勝った経験や負けた経験を、今大会で出られなかった子たちにも伝えていって、自分たちが全国で戦うために、今日受けた刺激をみんなに広めて、また来年後輩たちを引っ張っていける学年になっていきたいです」
冒頭、コーチから掛けられた「ユズ」とは、「ゴール下は譲(ゆず)らない選手になってほしい」という思いを込められた、#17 平野選手のコートネームです。どんなときでもチームを引っ張りながら、大事なゲームになったときにチームの期待に応えてこそ、真のエースです。その座を譲らずに、来年こそチームのモットーである“完全燃焼”を目指します。